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カモミールは、りんごを思わせる甘い香りのハーブです。ハーブティーでは、白い小さな花を乾燥させて使います。カフェインを含まないお茶として、夜の一杯にも親しまれてきました。

カモミールの歴史と文化

名前の由来や伝承、文学に出てくる場面、日本に伝わった時代を紹介します。

名前は「地上のリンゴ」

カモミール(Chamomile)の名前は、ギリシャ語で「地上のリンゴ」を意味する言葉に由来するといわれます。花から、りんごのような甘く爽やかな香りがするためです。

太陽神にささげられた花

古代エジプトでは、太陽神ラーにささげられた花だったといわれます。アングロサクソンの伝承では、「9つの聖なるハーブ」のひとつに数えられました。花言葉は「苦難に耐えて」です。

踏まれても育つ花

ヨーロッパでは、近くに植えた植物を元気にするといわれ、「植物のお医者さん」と呼ばれてきました。繁殖力が強く、踏まれてもよく育つ草でもあります。

シェイクスピアの『ヘンリー四世 第1部』には、ふとった騎士フォルスタッフが「カモミールは踏まれるほどよく育つが、若さは無駄に使うほど早くすり減る」と語る場面があります。

ピーターラビットのお茶

ビアトリクス・ポターの『ピーターラビットのおはなし』(1902年)の終わりに、カモミールティーが出てきます。マグレガーさんの畑で大冒険をしたピーターは、その晩、具合がよくありません。お母さんウサギは、ピーターを寝床に入れてカモミールティーを入れ、「寝る前に大さじ1杯」と飲ませます。きょうだいたちの夕食は、パンとミルクとブラックベリーでした。

イギリスの家庭で、カモミールティーが寝る前の身近なお茶だったことがうかがえる場面です。

日本には江戸時代に

日本へは、江戸時代にオランダなどから伝わったとされます。和名の「カミツレ(加密列)」は、オランダ語の「kamille(カミッレ)」に由来します。

味と香り

りんごのような甘い香りの、やさしい味わいのお茶です。口あたりがよく、ハーブティーを初めて飲む人にも飲みやすいといわれます。水色は淡い黄色です。

香りの強さや味の印象は、産地や収穫の時期、花の状態(花びらが残っているか、細かく砕けているか)で変わります。

「カモミール」と呼ばれる植物には、ジャーマンカモミールとローマンカモミールの2種類があります。ハーブティーに使われるのは主にジャーマンで、日本で「カミツレ」と呼ぶのもこちらです。学名は Matricaria chamomilla(M. recutita と書かれることもあります)。ジャーマンは一年草、ローマンは多年草で、分類上は別の属にあたります。香りも違い、ジャーマンは甘い香り、ローマンはフルーティーな香りといわれます。

カモミールティーの淹れ方

茶葉
乾燥した花を、小さじ山盛り1杯(カップ1杯分)
お湯
沸かしたての熱湯 約180ml
蒸らし
ふたをして3〜5分

ポットとカップを先に温めておくと、お湯が冷めにくくなります。ふたをして蒸らすと、香りが逃げにくくなります。花はかさが出やすいので、量は花の状態を見て加減してください。ティーバッグは、パッケージの表示に合わせてください。

アレンジ

濃いめに淹れて温めた牛乳を加えると、カモミールミルクティーになります。豆乳で作る場合は、豆乳180mlにカモミール大さじ1が目安とされます。冷やしてオレンジジュースと合わせる飲み方も知られています。

カモミールティーの効果は?

カモミールティーは食品(飲み物)で、病気の治療や予防を目的とするものではありません。ここでは、どんな場面で飲まれてきたかを紹介します。

  • 昔から、寝る前や食後、ほっとひと息つきたいときの一杯として飲まれてきました。
  • ヨーロッパでは、家庭で身近に飲まれてきたハーブです。
  • リラックスしたいときのお茶として親しまれています。
  • 現代の医学的な効果が確立しているわけではありません。昔から使われてきたことと、効果が確かめられていることは同じではないためです。

合わせやすいハーブ

カモミールは単体でもよく飲まれ、ブレンドでも主役になりやすいハーブです。風味がやわらかく、ほのかな甘みがあるので、クセのあるハーブに少し加えて飲みやすくする使い方もあります。

気をつけたいこと

  • キク科の植物(ブタクサ、キクなど)にアレルギーのある人は、飲む前に医師・薬剤師に相談してください。
  • カモミールの種類(ジャーマン・ローマン)や、妊娠中・授乳中などの体調によっては、注意が必要とされることもあります。
  • 持病のある人、薬を服用している人、体調に不安のある人は、飲む前にかかりつけの医師・薬剤師に相談してください。
  • 飲んで体に合わないと感じたときは、飲むのをやめてください。

このページについて:カモミールティーは食品です。医薬品ではなく、病気の治療・予防を目的としたものではありません。ここに書いた内容は、一般に知られていることをまとめた情報で、効果や効能を保証するものではありません。体調に不安のある方は、かかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。

出典・写真のクレジット

出典:養命酒製造「生薬ものしり事典 ハーブティーでおなじみの『カモミール』」/日本メディカルハーブ協会 会報誌『MEDICAL HERB』第44号「カモミール」(木村正典)/myherb.jp ハーブ辞典「カモミール」/佐々木薫『ハーブティー事典 改訂版』(池田書店、2021)/しばたみか『ココロ・カラダととのうハーブティー365日』(山と溪谷社、2026)/作山若子『喫茶手帳』(東京書籍、2009)/Beatrix Potter, The Tale of Peter Rabbit(1902)/William Shakespeare, Henry IV, Part 1(第2幕第4場)
写真:Kızıl/Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

逸見 伶(ハーブティープロデューサー/my herb 代表/シニアティーウェリスト)
このページを書いた人

逸見 伶(へんみ れい)

ハーブティープロデューサー/my herb 代表/シニアティーウェリスト

原料選びからブレンド設計、商品化までを手がけるハーブティープロデューサー。これまでに携わった商品は100品超。

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